2024.04.24
【論文発表】富山県立大学の研究論文が、国際学術雑誌「Inflammation Research」に掲載されました

脂肪肝炎の進行に影響を与える、肝臓マクロファージおよび腸内細菌嚢、胆汁酸の作用を解明

富山県立大学 工学部医薬品工学科の長井良憲 教授、古澤之裕 准教授らの研究グループは、メタボリックシンドロームに伴う脂肪肝炎の発症や進行における、肝臓のマクロファージ(免疫細胞)や腸内細菌叢、胆汁酸代謝の作用を解明しました。この研究には、富山大学および徳島大学の研究者が参画しています。

本研究では、高脂肪/高コレステロール/コール酸含有の食餌により脂肪肝炎を発症するマウスと、同様の食餌を与えても脂肪肝炎を発症しにくいマウスとを用いて、それぞれのマウスの免疫系および腸内細菌、胆汁酸を比較解析しました。その結果、脂肪肝炎を発症しにくいマウス群では、発症しやすいマウス群と比較して、脂肪肝炎を抑制する肝臓マクロファージおよびアッカマンシア菌(脂肪肝炎を抑制することが報告されている腸内細菌)が多く存在すること、腸粘膜を傷害する胆汁酸が減少していることがわかりました。すなわち、肝臓マクロファージや腸内細菌叢の構成、胆汁酸の種類や組成が脂肪肝炎の進行に深く関わることを明らかにしました。 今後、詳細に両マウスの違いやアッカマンシア菌が増加するメカニズムなどを解析することで、ヒトの脂肪肝炎進行の個人差を説明し、予防薬や治療薬の開発に寄与することが期待されます。

この研究成果は2024年4月15日に国際学術雑誌「Inflammation Research」オンラインに掲載、発表されました。 本研究は、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムがサポートする研究テーマのひとつです。

論文タイトル
Impacts of liver macrophages, gut microbiota, and bile acid metabolism on the differences in iHFC diet‑induced MASH progression between TSNO and TSOD mice

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