2024.12.12
【記者会見レポート】富山大学で、がん患者さんの身体・精神状態を在宅で問診できる観察研究をスタート

臨床研究のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる富山大学附属病院 臨床研究開発推進センターでは富山くすりコンソと協働し、がん患者さんが身体・精神状態の問診(IPOS※1)を在宅でも行える観察研究を開始。12月10日に附属病院内で記者会見が行われました。

会見では、林篤志 附属病院長の挨拶、寺元剛 臨床研究開発推進センター副センター長からのセンター概要と臨床研究DX化の取組概要に続いて、同センターで臨床研究データ管理室長を務める菅野亜紀氏が、従来の紙を用いた問診(IPOS)を電子化し、がん患者さんがスマートフォンアプリで在宅でも問診を受けられるようにした今回の取組みについて報告しました。また、この観察研究で研究代表医師を務める腫瘍内科・緩和ケア内科の梶浦新也 副診療科長からは、診療現場の課題として、質の高いデータを効率的に負担なく集めるという観点から説明が行われました。

菅野氏によると、がん患者さんは高齢者が多いことからアプリの画面は文字やボタンを大きくするなど使いやすさを重視しており、また問合せ用のヘルプデスクを設置したこともあり、現在までアプリの利用を開始した方のほとんどが問題なく操作できているそうです。このIPOSアプリによって、がん患者さんの利便性向上や負担軽減が期待されています。研究に参加している患者さんは既に48名に達し、予定とする200名に向けて順調に進捗しています。この観察研究は令和8年3月まで継続される予定です。

富山大学の臨床研究DX化の取組みは、令和6年度に富山くすりコンソの研究開発補助金「実用化総合支援プログラム」の採択を受けて進められています。

■北日本新聞 12月11日(水) 5:00

アプリでがん患者問診 富山大付属病院、次回通院時の診療に反映

■富山新聞 12月11日(水) 5:00

がん、アプリで在宅問診 富大附属病院 医師、患者の負担軽減

【用語解説】

※1 IPOS:Integrated Palliative care Outcome Scaleの略。ホスピス・緩和ケアにおける評価尺度の一つ。症状だけでなく社会的側面、スピリチュアルな側面など緩和ケアに必要な全人的な評価を可能とする。

※2 DCT:Decentralized Clinical Trialsの略。分散型臨床試験。医薬品開発において、デジタル技術等の活用により、医療機関への来院に依存しない臨床試験手法。

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