小児や高齢者が服用しやすいミニタブレット製剤の開発

主任研究員

永井 秀昌

【研究テーマ名】

小児や高齢者が服用しやすいミニタブレット製剤の開発  ~高精度でかつ機能性の高いミニタブレット用杵臼の開発~

【背景】

小児製剤は国内では開発があまり進んでおらず、国を挙げて取り組むべき重要な課題となっております。小児製剤の開発が法制化されている欧州において、小児にも服用しやすい剤形としてミニタブレット(直径1~4 mm程度の錠剤)が注目されています。ミニタブレットは通常サイズの錠剤を飲み込めない年齢の小児でも服用可能であることが報告されており、次世代の小児用剤形として医療関係者の関心が高まっています。しかしながら、ミニタブレットを打錠する際に用いる「ミニタブレット用杵臼」は精度の面で課題が多く、製品化が困難な場合があります。このため、高精度でかつ機能性の高いミニタブレット用杵臼を開発するとともに、小児用及び高齢者向けミニタブレットの製剤開発を実施いたします。製剤開発にあたっては、ミニタブレットに適する薬物の絞り込みや処方設計、含量均一性や溶出性の評価を実施することにより、新たな小児製剤の開発促進に貢献いたします。


【研究内容】

1.高機能ミニタブレット用杵臼の開発

重量バラツキが少なく、打錠障害の無いミニタブレットを製造するため、表面処理を施した高機能ミニタブレット用杵臼の開発に取り組みました。有効な表面処理法を検討するにあたり、圧縮特性評価装置を用いて、杵臼の表面処理性能を数値化することにより、表面処理性能を正確に評価し、有効性の高い処理の選抜を行いました。その結果、富山のものづくり技術を生かして高機能ミニタブレット用杵臼を開発することができました。開発した杵臼は市販品よりもミニタブレットの重量バラツキが抑えられ、打錠障害を防止できることを確認し、共同研究者の株式会社石金精機(富山県富山市)より製品化して販売を行っております。

2.小児及び高齢者用ミニタブレット製剤の開発

小児用開発候補品として、小児製剤開発候補リストや病院・薬局薬剤師へのアンケート結果から選抜した2種類の薬剤について、ミニタブレットの製剤化を検討いたしました。検討に際し、含量均一性が担保でき、標準製剤と溶出挙動が同等な製剤が得られる製造条件を見出しました。特筆すべきは、ミニタブレットは錠剤粉砕品や顆粒剤よりも口腔内での苦味発現を軽減できること、通常錠よりも簡易懸濁法(錠剤を温湯にそのまま崩壊懸濁させて経管投与する方法)での調製時間を短縮できる有利な剤形であることを明らかにできた点にあります。

さらに小児用ミニタブレットの開発にあたり、新たな製造方式として導入が進みつつある連続生産技術を活用した手法も検討いたしました。候補薬剤を用いて検討した結果、連続生産機(造粒-乾燥工程連続)を用いても含量均一性を担保したミニタブレット用顆粒の製造が可能である条件を見出すことができました。


【今後の展開】

今後は開発した杵臼を用いた実例を蓄積し、情報発信することにより、ミニタブレットや小児用製剤の開発促進に貢献したいと考えています。また、高齢者用として開発ニーズが高い薬剤について引き続きミニタブレット化の検討を行い、ミニタブレット製剤の開発に向けた取り組みを継続していきます。


【研究成果の公表】

〇学会・シンポジウム・セミナー等イベントでの発表

T-Messe 2023 富山県ものづくり総合見本市,    2023.10.26-28(富山県富山市)
BioJapan 2023,    2023.10.11-13(神奈川県横浜市)
関西バイオビジネスマッチング,    2023.1-2(オンライン)
令和4年度 薬事総合研究開発センター研究成果発表会,    2022.11.21(富山県射水市)
フォーラム富山「創薬」第56回研究会,    2022.11.8(富山県富山市)
BioJapan 2022,    2022.10.12-14(神奈川県横浜市)

〇テレビ・新聞・書籍・Web等各種メディアへの投稿、報道

北日本新聞「小児用製剤金型を開発 県薬総研 ミニタブレット拡大へ」   2022.8.18
富山新聞「小型薬専用金型を開発」   2022.8.4


◆用語解説

打錠:粉末や顆粒を圧縮成形して錠剤に成型すること。一般的にはロータリー打錠機と呼ばれる装置に杵臼を設置し、錠剤に打錠する。

ミニタブレット用杵臼:ロータリー打錠機に取り付ける金型で、一般的な杵臼とは異なり、杵には複数のチップ、臼には複数の穴があり、一度の圧縮で多数の錠剤を打錠できる特殊な杵臼。ミニタブレットの打錠に適している。

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