「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアム アドバイザリーボード委員
私は、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアム(以下「富山くすりコンソ」といいます。)に、この事業が始まった当初から、アドバイザーとして関与させていただいております。
本稿では、富山くすりコンソの来歴を振り返りつつ、アドバイザーの目から見て、どのような成果が得られつつあるのかについて述べたいと思います。
最初に、ちょっとだけお堅い話をさせていただきます。富山くすりコンソが組織された発端です。富山くすりコンソは、内閣総理大臣により、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律(平成30年法律第37号)に基づいて、地方大学・地域産業創生交付金の交付対象事業として決定された「『くすりのシリコンバレーTOYAMA』創造計画」に従い、設立され、活動を続けてきました。そして、この活動の目的は、地域における大学振興・若者雇用創出の推進に資することとされています。
どのような活動を行ってきたかといえば、富山くすりコンソは、富山県薬業連合会をはじめとした民間企業の「産」、富山県薬総研のような「官」、富山大学、富山県立大学のような「学」の協力を得ながら、研究開発事業と人材育成事業を行ってきました。
研究開発事業は、大学や薬総研に眠っていたシーズを、大学等自身の研究、開発力を高め、民間企業の力を借り、社会実装するための活動であり、人材育成事業は、多様な学部の大学生に医薬品業界に興味を持ってもらったり、社会人により高度な医薬品のスキルを身につけてもらうという活動です。
これらの活動を、平成30年度から令和4年度までは地方大学・地域産業創生交付金の支援を受け、そして、令和5年度からは、自走し、富山県と外部との資金で行っています。
では、これらの活動から、どのような目に見える成果が生まれたかというと、迅速無菌検査キットに関するベンチャー企業が設立されたり、企業と製品として販売するなど、の一定の成果は上がっています。
ただ、投入された資金に見合った数字としての収益をあげられているかと言えば、収益レベルとしては大きくないと言わざるを得ません。
しかしながら、単純な利益の点からだけではなく、この事業が、富山県の産官学にどのような見えない成果を残したかという点も十分に配慮する必要があると思います。
例えば、私がアドバイザーとして関与した当初は、大学等において、企業から求められるレベルの共同研究を行うことができる研究の管理(データの取捨選択、知的財産の管理、契約の管理等)を行えていませんでしたし、企業との共同研究の実績も少ないものでした。また、大学も、治験を行った経験がほとんどないという状況でした。
そのような状況が、この事業が実施されることによって、大学等といくつもの企業との共同研究が行われ、大学でも治験が行なわれるようになり、最終的に製品化され販売されるまでに至っています。
つまり、数字としては表れていないとしても、産業界は大学等との共同研究について、大学等は企業との共同研究や治験について、多くの経験を重ね、暗黙知として組織内に見えない成果を得ていると言えます。
このように、富山くすりコンソとこの事業で得られた成果は素晴らしいものであると、アドバイザーとして関与させていただき、強く感じているところです。
私は、今後とも富山くすりコンソの活動を維持発展させることが必要であると確信しており、私自身も、富山くすりコンソをきちんとした組織体として、永続させ、発展させるために協力させていただければと考えております。