2026.09.04
「くすりの富山」から、世界へ。次の300年をつくる挑戦

富山県知事

新田 八朗
Hachiro Nitta 昭和33年8月27日富山市生まれ。昭和56年一橋大学経済学部卒業後、株式会社第一勧業銀行に入行。昭和58年日本海ガス株式会社に入社。平成12年日本海ガス株式会社代表取締役社長に就任。平成30年日本海ガス絆ホールディングス株式会社代表取締役社長に就任。令和2年11月富山県知事に就任。現在2期目。

 富山県は、「先用後利」で知られる江戸時代の配置薬業に端を発し、300年以上にわたり「くすりの富山」として医薬品産業の集積を築いてきました。現在も本県には、新薬、ジェネリック医薬品、OTC医薬品、原薬など、多様な医薬品を製造する企業が集積しており、医薬品生産額・一人当たり生産額ともに全国トップクラスを誇っています。こうした歴史と産業基盤を次の時代へとつなぎ、国内のみならず世界に伍する医薬品産業拠点を目指すため、本県は2018年に産学官連携組織「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアム(富山くすりコンソ)を立ち上げました。

■ 産学官が一体となった「推進エンジン」

 医薬品産業は、研究開発から製造、品質管理、人材育成に至るまで、単独の企業や機関だけでは完結しない産業です。大学・研究機関、製薬企業、スタートアップ、行政が役割を分担し、連携することで初めて、持続的なイノベーションが生まれます。富山くすりコンソは、まさにその「連携のハブ」として機能しています。大学が創出する創薬シーズを企業が実用化し、行政が制度面・人材面から支える。この循環を地域全体でつくり上げることが、富山くすりコンソの最大の意義であると考えています。

■ 世界の「薬都」に学び、富山ならではのモデルを

 富山県はこれまで、スイス・バーゼルなど世界有数の医薬品集積地を「薬都とやま」の目指す姿としてきました。これらの地域に共通するのは、大学・企業・スタートアップが密接に連携し、創薬エコシステムを形成している点です。本県には、富山大学や富山県立大学をはじめとする高等教育機関、全国有数の医薬品製造技術、そして長年培われてきた品質への信頼があります。富山くすりコンソを軸に、これらの強みを掛け合わせることで、富山ならではの創薬・製薬エコシステムを構築できると確信しています。

■ 人材育成こそ最大の投資

 医薬品産業を支えるのは、何よりも「人」です。研究者、製造技術者、QC(品質管理)、QA(品質保証)、データサイエンティスト、さらには事業化やスタートアップ創出を担う人材まで、多様な専門性が求められています。本県では、富山くすりコンソを通じて、

 ・バイオ医薬品分野をはじめとする専門人材の育成

 ・学生、社会人双方を対象とした教育プログラム

などに取り組み、大学発スタートアップの設立といった成果を上げてきました。これらは、将来に向けた最も重要な投資であり、引き続き力を入れていきたい分野です。

■ 「くすりの富山」から、世界へ

 医薬品は、人の命と健康を支える社会的使命の大きい産業です。富山で生まれ、富山で育まれた技術や人材が、高品質な医薬品を、日本、そして世界の患者さんのもとへ届けるその実現のため、富山くすりコンソが果たす役割はますます大きくなっています。私は県知事として、今後も産学官が一体となった挑戦を支え、「くすりのシリコンバレーTOYAMA」の実現に向け、引き続き、多くの皆様と力を合わせていきたいと思います。

 300年の歴史は、過去ではなく「起点」です。ここから生まれる新たな価値が、日本、そして世界の医療を支えていく。富山の挑戦は、未来へと続いていきます。

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